「その……最近、執筆が進んでて。
早く書き上げたいかなー……なんて」

もっともらしい言い訳をした。
それくらいしか思いつかなかったから。

『そうですか。
気分が乗っているときはやはり、書きたいですもんね。
わかりました、食事は初稿が上がったときにでも』

「……はい、ありがとうございます」

電話を切るとはぁーっと大きなため息が出た。

「執筆、頑張ろう」

この小説が書き上がったら、真っ先に松岡くんに読んでもらおう。
そうすれば、私の気持ちをきっと、わかってくれるから。



――ピピピッ、ピピピッ。

手探りで携帯を探し当て、アラームを止める。

「……起きなきゃ」