机の上に置くだけして部屋を出て行こうとする。

「あのね、横井さんから連絡があって」

声をかけると、松岡くんの足が止まった。

「あの本に付いてたの、猫の血だって」

松岡くんはこっちを振り返らない。

「そうですか」

素っ気なくそれだけ言って、松岡くんは出て行った。
けれど出て行くときぼそっと、やっぱりあいつが怪しい、なんて言っていたけれど、どういう意味なんだろう……?


今日、用意されていたのはひとり分の食事だった。

「松岡くんは食べないの?」

「業務規定違反ですので」

ぴしゃ、完全に拒絶の声が響く。

「……うん。
そだね」