そう、松岡くんに説明したけれど、いまの彼にわかってもらえるかは難しい。

「思い上がるのもいい加減にしろよ」

「いっ……!」

血が出るんじゃないかってくらい首筋に噛みつかれ、涙が滲んだ。

「あいつがいいのなら、あいつのところへ行けばいい。
ただし、どうなっても知らないからな」

ぷいっと私から視線を逸らし、松岡くんは中へと戻っていく。

「……松岡くん」

その背中へ声をかけた、が。

「なんでございましょうか」

完璧な執事モードで松岡くんが振り返る。

「なんでも、ない」

――拒絶された。

そう、感じた。