「いや、本物の執事にしか見えないですよ。
格好だけじゃなく、立ち居振る舞いがそれらしい」

これは、喜んでいいところなんだろうか。

「あとで本人に伝えておきます」

口に入れたシフォンケーキはふわふわで、あっという間に口の中で消えていく。
また添えらている、あっさりとしたクリームがいい。
最近、松岡くんの作ったケーキばかり食べているが、これも負けず劣らず美味しかった。

「例の作品の執筆状況はいかがですか。
いや、こんな状態だったら進まないのはわかっているんですが」

ごまかすようにはははと笑い、立川さんはあたまを掻いた。

「それが、その。
……現実逃避したくて執筆に逃げていたら、思いの外、進んで」

あの小説はまだ悩みながら書いているから、いつものTLほどさくさくとは進まない。
それでも、かなり書いていると思う。

「怪我の功名、ですかね」

「かも、です」