「はい。
その、物は警察に渡したのでこれしかないんですが……」

プリントアウトしておいた写真を見せる。
証拠品を警察に渡す前に、松岡くんが携帯で写真を撮っておいてくれた。
立川さんに相談するとき、必要だろうって。

「これは……。
さぞ、ショックだったでしょう」

「……はい」

写真を見た途端、さっと立川さんの顔色が変わった。

「本は作家の分身ですからね。
こんなことをする奴は、本当に許せないな」

険しい顔で立川さんは何度も頷いた。
そこまで真剣に心配してくれているのだと、嬉しくなる。

「絶対に犯人、見つけてみせますよ。
いや、本当に」

はっきり断言され、安心した。

「それで、大藤先生を恨んでいるような人に心当たりはないですか」