なのでわざわざ休日ではなく、きちんと仕事して来てもらった。

「すみません、忙しいのにお呼び立てしたみたいで」

「いえ。
大藤先生の一大事ですから」

神妙に頷く立川さんの前に座る。
すぐに松岡くんがお茶を淹れてきてくれた。
けれど、立川さんを見る目が妙に険しい。

「これ。
お見舞いじゃないですが、シフォンケーキです。
ここ、社内の女子たちに美味しいと人気で」

「わざわざありがとうございます」

受け取った箱を松岡くんへ渡す。
こういう小さな心遣いが、さすが王子だななんて思う。

「それで。
大藤先生の本が送られてきたということですが」

立川さんは姿勢を直し、きりっと表情を引き締めた。
それについ、見とれてしまいそうになるがいまはそんな場合じゃない。