「う、うん。
月曜日」

今度こそ松岡くんは帰っていった。
自転車の音が聞こえなくなり、鍵をかけながらも身体が熱い。

……ずっと一緒にいたい、か。

猛烈にあたまの中で、毎日松岡くんが雇えないか計算している自分がいる。
でも多少の余裕があったから週二の午後遅くから家政婦さんをお願いできただけで、毎日――それも朝から晩までなんて無理。

「なに莫迦なこと、考えてるんだろう……」

家の中へ戻っていくセバスチャンのあとを追う。
だいたい、松岡くんは業務規定すれすれで私の仮彼氏をしてくれている。
毎日来てもらうようになったって、それが変わるわけじゃない。

「本当に傍にいてもらうには……」

思い浮かぶのはひとつしかない。
家政婦契約を解約し、仮彼氏から――本当の彼氏になってもらう。
それしかないのはわかっているのに、二の足を踏んでしまう自分がいる。