「……ねぇって」

ちゅっ、耳元に落とされる口付け。
瞬間、身体から力が抜けた。

「あぶねっ」

倒れそうになった私を慌てて松岡くんが支えてくれる。

「わるい、ちょっとからかいすぎた」

「……う、うん」

心臓の鼓動が、全力疾走でもしたかのように速い。
松岡くんの手を借りて、そろそろと立ち直す。

「でも泊まるのはありだよな。
……あー、でも、業務違反になるし……」

真剣に悩んでいる彼がおかしくて、不安な気持ちは晴れた。

「大丈夫だよ。
戸締まり、ちゃんとする。
なんかあったらすぐに連絡する。
それにセバスチャンもいるし」

「にゃー」