「じゃあこれ、横井さんに渡しておく」

「うん、お願いね」

フリーザーパックに入れた封筒と本を、松岡くんが少しだけ掲げてみせる。
彼が帰る段階になると、また心細くなってきた。

「そんな顔するなって。
帰りたくなくなるだろ」

安心させるように、松岡くんは私をぎゅっと抱きしめた。

「……それとも、泊まった方がいいか」

耳元で囁かれ、途端にぼふっと顔が火を噴く。

「や、それは……」

あたまの中をよぎっていくのは、いつも書いているTLノベル的展開。

「……なあ。
さっきからなに考えてんの」

やめて!
甘いバリトンボイスで囁きながら、私の頬を撫でないで!