「執事物なんてぜーったいに書かない!!」

「よろしいでしょうか」

「はいっ!?」

雄叫びを上げているところに声をかけられ、心臓が一瞬、胸がから飛び出た。

「な、なんでしょうか……?」

……まさか、聞かれていないよね?

こわごわふすまを開ける。
けれど立っていた松岡さんはポーカーフェイスで、どうだったかは判断できない。

「夕食の買い物に行って参りますが、食べられないものや苦手なものなど、ありますでしょうか」

「と、特にない、……です」

「では、行って参ります」

ふすまが閉まる際、くすりと小さく笑い声が耳に届いた。
途端に顔がボッと熱くなる。
絶対に聞いていた癖に、なにも言わないなんてたちが悪い。