いきなり肩を叩かれ、驚いて息を吸い込んだ。
そのままゆっくりと抜けていく。

「……まつ、おか、くん?」

のろのろと視線を上げる。
目があうより早く、松岡くんから抱きしめられた。

「いいからゆっくり息しろ」

とん、とん、とゆっくり背中を叩く彼の手にあわせて呼吸する。
おかげで、ずいぶん楽になった。

「ちょっと待ってろ」

軽く松岡くんの手が、私のあたまをぽんぽんする。
そのまま彼は部屋を出て行った。
少しして、カップを片手に戻ってきた。

「落ち着くから」

「……ありがとう」

優しい香りの紅茶のおかげで、少しだけ落ち着けた。

「……ひでーな」