「……じゃあ、よろしく頼む」

「うん」

ぐっと、さらに私を松岡くんは抱きしめた。

……ん?

さっきからなんの抵抗もなく腰を抱かれて歩いているけど、これってラブラブカップルみたいじゃない……?

気づくと、一気に顔が熱くなる。
私が黙って俯いてしまい、松岡くんは怪訝そうに顔をのぞき込んだ。

「紅夏?」

「な、なんでもなぃ!」

うっ、声が裏返った。

「それよりほら、お腹空いたな!
晩ごはん、まだだし。
あ、でも、松岡くんはもう、時間になるよね?」

早口に捲したてる私を、松岡くんはおかしそうにくすりと笑った。