今度は馬鹿にするようにじろじろと松岡くんを見ていて、嫌な気持ちになった。


今週届いた分の手紙を出して横井(よこい)と名乗った警官に説明する。
先週までの分を立川さんに渡してしまったことを少し後悔した。

「でも、失礼ですが、作家さんなんでしょう?」

まるで面倒だとでもいうのかのように横井さんは、はあっと息を吐き出した。

「売れればこんな輩も出てきますって。
ほら、有名税って奴ですか」

興味なさそうに耳をほじり、指についた耳垢をフーッと横井さんは吹き飛ばした。

「な……っ」

目の前がくらくらする。
作家だからってこんなことを言われなきゃいけないなんて。
かっとなって立ち上がりかけたら、松岡くんから肩を押さえられた。

「それは本気で仰っているのですか」