それに絶対立ち入り禁止にしてしまった方が、危険が少なくていい。
あとはこの部屋以外に原稿や本を放置しないように気をつければ。

「家政婦さんひとり雇うだけで、ほんと面倒……」

はぁーっと、口から大きなため息が落ちるが、これは自業自得だし、この家を守るためには必要なんだから仕方ない。

ぼーっとしている時間ももったいないので、デジタルメモを立ち上げる。
私はアイディアや執筆はデジタルメモで行い、パソコンで推敲する派だ。

「次回作のアイディア練っとかないと……」

適当に本棚から抜き出した資料をぱらぱらめくりながら妄想に耽る。

王子はこの間、書いたしなー。
領主とメイドもいいよね。
メイドといえば執事だよね。
執事だったらお嬢様との禁断の恋、とか萌える……って!
執事はない、ない!

あたまを振って浮かんできた妄想を慌てて打ち消す。
だって妄想の執事は、松岡さんだったから。