「ただ小説書いてるだけなのに!
誰にも迷惑だってかけてない!
なのになんで!?」

「……紅夏は悪くない」

ぎゅっと松岡くんに抱きしめられた。
途端に涙が一気に溢れ出る。

「紅夏は悪くない。
悪いのはこんなことをしている奴だ」

「……うん」

幼い子供のように彼に縋って泣いた。
泣き続ける私の背中を、松岡くんがあやすようにとんとんしてくれる。
それが酷く、落ち着けた。

「落ち着いたか」

すん、と私が鼻を啜ると、松岡くんはハンカチを出して涙を拭ってくれた。

「やっぱり、警察に行こう。
このままエスカレートしていったら、紅夏自身に危害を加えられるかもしれない」