「……役立たず」

ぼそっと呟いた松岡くんの声は酷く冷たくて、背中がびくんと大きく震える。

「で、でも出版社では犯人捜しに躍起になってて、奨金まで出たらしいよ」

慌ててフォローしてみたけれど、どうなんだろう?

「へー。
それって俺が捕まえても奨金出るのかな」

私の身体を離した松岡くんが、右頬だけを歪めて笑う。
もしかして、捕まえる気ですか?

「ど、どうだろう……ね」

「どっちにしても紅夏に危害を加える奴は許しておけないからな」

完全に私から離れた松岡くんは、私のあたまを軽くぽんぽんした。

「……年下のくせに子供扱い」

ぶーっと唇を尖らせてみたものの。