書きながら菓子パンを囓ったりコーヒー牛乳を飲んだりするから当然、そのゴミがそこら中に散らかっている。
いや、そのゴミは問題ないのだ。
問題なのは。

「原稿、どうしよう……。
あと、本棚も……」

散らばるゴミの中には当然、プリントアウトした原稿も含まれている。
そして本棚には大量のTLノベル。
自書はもちろん、いただいた物や自分で買った物まで含めると、かなりの割合を占めている。

家政婦紹介所には小説家だということは伝えてある。
ただし書いているのはTLだというのは隠していた。

別にTLノベルを書いているのが恥ずかしいわけじゃない。
むしろ、誇りにすら思っている。

けれど世間の目は怖い。
父ですらいまだに、低俗なエロ小説だと莫迦にしているし。

「ほんと、どうしよう」

もうこの部屋の掃除は諦めるしかないだろう。
それに、ここがいくら散らかっていたって、閉じ込められる危険はない。