そのまま右手がアメリーンのあごを持ち上げた。

「返事はどちらかだ。
……YESか、NOか」

じっと、アクアマリンの瞳が自分を見ている。
からからに渇いた喉につばをごくりと飲み込み、アメリーンは口を開いた。

「……YES、です



――どさどさどさー。

……うるさい、なに?

突然、廊下から聞こえたきた音で、キーを叩いていた手が止まる。
きっと、適当に積んであった本が崩れたのだろう。

……いま、いいところなんだから邪魔しないでよね。

いままで気持ちがすれ違い続けていたアメリーンとエリオットが結ばれる、一番いいシーンなのだ。
気持ちが最高に乗っていたのに、こんなことで集中を途切れさせられるなんて。