「大藤先生、無理しないでいいですよ。
もう、仕方がないことだから」

「すみません、なんか」

本当にセバスチャンはどうしてしまったのだろう。
こんなことは初めてで、戸惑ってしまう。

「僕いったい、猫になにをしたんだろう……?」

すっかり立川さんは落ち込んでしまった。
こんなに猫に嫌われるなんて、前世でなにかしたんだろうか。


「本当にすみません。
お役に立てなくて」

「いえ、立川さんのせいじゃないので」

玄関まで立川さんを見送った。

「じゃあ、またなにかあったら連絡ください」

「はい、お休みの日にわざわざすみません」

「作家を守るのは編集の仕事ですから」

仕事として言っているのはわかっている。