「どうしたの?」

「シャーッ!」

そっと手を出したら、さらに警戒された。
視線の先にいるのは……立川さん?

「やっぱり僕、猫から嫌われる運命なんですね……」

はははっ、と力なく立川さんの口から笑いが落ちる。

「いつもはこんなこと、ないんですけど……」

セバスチャンは人懐っこい。
たまに来る、宅配のお兄さんにもすり寄っているくらいだ。

「そうだ、おやつあげてみたら!」

大好きなおやつを持ってきて、目の前に出してみた。

「セバスチャン、おやつだよー」

「シャーッ!」

いつもなら目の色を変えて飛びつくおやつなのに、今日は警戒を解こうとしない。