「そうですね」

無理にでも笑ってみる。
こんな卑劣な嫌がらせをする人に、屈したくない。

「だから、心配しないでください。
……なんて断言できたらいいんですけどね」

すっかり立川さんは恐縮しきっているが、悪いのは犯人で立川さんじゃない。

その後、淹れたお茶を飲みながら、作品の話を少ししたりした。

「あの。
こんなときになんなんですが。
……あれが噂のセバスチャンですか」

ちらっ、ちらっと、立川さんの視線がセバスチャンへと向かっている。
猫好きとしてはたまらないのだろう。

「はい。
……セバスチャン、おいでー」

「ふーっ!」

いつもだって呼んですぐ来る、なんてことはないが、こんなに毛を逆立てて警戒することもない。