「うん、お願い、するね」

「うん」

力強く彼が頷き、ぎこちないまでも笑えた。

「でも、やっぱり警察に行かねー?」

警察、と言われるとどうしても、及び腰になってしまう。
それに前に桃谷さんが、警察にも相談しているけど、誰がやっているのかわからない、って言っていたし。

「あのね。
ほかの作家さんも被害に遭ってるみたいだし、出版社さんに任せた方がいいと思うの」

「……それって」

一気に、松岡くんが不機嫌になる。

そんなに嫌い?
立川さんが。

「仕方ねーよな、俺にはどうしょうにもできないし」

小さくはぁっと松岡くんの口からため息が落ちる。

「早急に立川の野郎に相談しろ」