「大丈夫か。
……って大丈夫なわけねーよな。
こんなん、もらって」

目の前が真っ暗になった。
けれど、とくんとくんと優しい音が耳に響く。

――松岡くんの、腕の中にいた。

「大丈夫だ、俺が絶対に紅夏を守る」

「……うん」

あやすように、とん、とんと背中を叩く松岡くんの手が心地いい。

「紅夏に危害を加える奴は、俺が絶対に許さねー」

「……うん」

ゆっくり、ゆっくりと気持ちが落ち着いていく。
頃合いを見計らって、松岡くんは私の身体を離した。

「だから紅夏は、安心していい」

そっと、少しだけ出ていた涙を拭う、松岡くんの指がくすぐったい。