「……はい」

いつまでたっても松岡くんの顔は晴れない。
もしかして自分が頼んで飼ってもらった猫だから、気にしているんだろうか。

そんなの、関係ないんだけどな。
私もセバスチャン、大好きだし。

でもこのままだと松岡くんは、落ち込んだままかもしれない。

はぁっ、また小さくため息をついて、ちょいちょいと手招きした。

「……はい?」

怪訝そうな顔のまま、彼が近づいてくる。

「もうちょい」

「……?」

さらに彼の顔が近づき……その頬へ唇を付ける。

「……気にしてないって言ってるよね?」

我ながら大胆な行動に、身体が熱を持つ。