「……松岡くんって作れないものあるの?」

「そうですね、さすがに酒は造れませんが。
違法になってしまいますので」

にっこりときれいに口角を上げて松岡くんが笑う。
うん、もういいよ。
松岡くんがなにを目指しているかなんて考えない……。


アフタヌーンティのあとはいつも通り、仕事部屋にこもる。

「セバスチャン。
どうしてあなたはおいたばかりするのですか」

「にゃー」

仕事部屋に引っ込む際、台所でなにかが割れる派手な音がしていたら、きっとセバスチャンの仕業だろう。
しかし、相変わらず猫に対して松岡くんが丁寧口調で説教していて、吹き出しそうになる。

「紅夏、すみません」

すぐに松岡くんがすまなそうに顔を出した。

「セバスチャンがグラスを割ってしまいまして……」