「そうですね」

私も苦笑いで箸を取った。

嫌がらせのことなど忘れるように、和やかに食事は進んでいく。

「その手」

「え?」

私の視線に気づいたのか、立川さんは自分の右手を確認した。

「また、猫に引っかかれたんですか」

「ああ。
……そうなんですよ、引っかかれるのがわかってるんだから、手を出さなければいいんですけどね。
つい」

うっ。
そんな、困ったふうに笑わないでください!
眩しすぎて目が潰れそう……。

「どうやったら猫と仲良くなれるんでしょうね?
大藤先生、ご存じじゃないですか」

「そうですね……」