難しい顔で立川さんは一連の手紙を見ている。

「これ、お預かりしてもいいですか。
情報が欲しいですし、法務部にも相談してみます」

「お願いします」

「やだな、あたまを上げてくださいよ。
僕はまだ、なにもしてないですから」

立川さんが困ったように笑い、やっぱり頼ってよかったなとほっとした。

「……あ、でも」

受け取ったファイルを鞄にしまいながら、なにかを思い出しかのように立川さんが顔を上げた。

「この被害に遭った作家がその後に出した本、結構売れてるんですよね。
まあ、炎上商法的なあれなんで、あれですけど。
けど、売れる手伝いをしてくれてると思った……って嬉しくないですよね」

立川さんは苦笑いしているが、それは全然嬉しくない。

「すみません、変なこと言いました。
さあ、今日は嫌なことを忘れて、食べましょう?」