「では、本日はこれで失礼いたします。
また次回、金曜日に」

「はい、ご苦労様でした」

もう習慣になっている、セバスチャンを抱いて玄関までお見送り。

「あ、明日、立川に会うんだよな?」

「そう、だけど?」

靴を履きかけて松岡くんが振り返る。

「このペンダント、絶対につけて行けよ」

ちゃりっと、彼の手がハートのチャームを揺らす。
なんとなく、いつもつけていた方がいい……というよりもいつもつけていたくて、今日ももちろんつけていた。

「……うん」

「あと……」

じっと、松岡くんが私を見つめる。
レンズの奥の瞳が、妙に艶っぽい。
ゆっくりと彼の手が私の肩を滑り、首筋をあらわにした。