「危ない!」

後ろへひっくり返りそうになったところを、松岡くんが慌てて支えてくれた。

「……こういう危ないことはおやめください」

「……そう、だね」

さすがに、あきれ気味にはぁっとかため息をつかれたら、肩身が狭い。

「それで。
恋愛……でしたか」

くるっと椅子を自分の方へ回し、じっと私を見つめてくる。
レンズの向こうの瞳が、熱を孕んで見えた。

「……俺のこの想い、直接紅夏に伝えられたらすぐにわかるのにな」

熱いバリトンが、私の耳をくすぐる。
そっと頬に手が添えられ、親指が唇をなぞった。

「ここにキスして」

頬から下りた手が、首筋を撫でる。