私を抱きしめる松岡くんの手が痛い。
彼が怒っているのはわかるが、なんで怒っているのか全くわからない。

「仕事の一環なんだよな」

「そう、だね」

「わかった。
けど、条件がある」

私を身体から離し、松岡くんがじっと見つめてくる。

「このペンダント、絶対につけていくこと」

彼の手がチャリッとハートのペンダントトップを揺らした。

「紅夏に手、出されたら困る」

にやりと右頬だけを歪めて笑い、白い歯が僅かに覗く。
私はただ呆然と、それを見ていた。