「かしこまりました」

お辞儀をして松岡さんはふすまを閉めた。
と、同時に詰めていた息を吐き出す。

……き、緊張したー。

それでなくても人付き合いは苦手、さらには男性となるともっと苦手。
家政婦を頼むのだってかなりの覚悟がいったのに、家政〝夫〟となると耐えられるはずがない。

「早く時間にならないかなー」

契約は三時から八時までの五時間。

な、長い。

なんでもっと短く、三時間契約とかにしなかったんだろう……。
なんか担当の(はやし)さん?がぐいぐい勧めてきて。
断り切れなかったんだよね……。

「あー、もー、さっさと帰ってほしい……あーっ!」

大慌てで部屋を飛び出し、台所へと急ぐ。

「どうかなさいましたか?」