認めてしまうのが――酷く怖かったから。


デジタルメモを立ち上げ、例のプロットにいまの気持ちを反映させる。
恋に苦悩する彼女は私そのものだ。

「私の、気持ち……」

ずっとごまかし続けるなんてできない。
きっとこの小説を書き上げれば、自分の気持ちがはっきりする。
いつも以上に私は、小説の中へ没頭していった。


「郵便が届いております」

「あ、うん」

松岡くんの声で、現実に引き戻される。
郵便、ということはまたあれが届いているのかな……。

受け取った束の中にはまた、例の茶封筒が入っていた。

「……はぁーっ」

無意識に、口から大きなため息が落ちる。

「どうかなさいましたか」