お辞儀をする松岡さんはいちいち芝居がかっていたが、彼がするとそれが様になった。

……執事かー。

執事なんて取材で行った、執事カフェの執事くらいしか知らない。
あの執事はメイドカフェのメイドと一緒でエンターテイメントに特化していて、酷くがっかりしたが。

「よろしいでしょうか」

「は、はぃ!」

うっ、緊張しすぎて声が裏返った……。

ふすまを開けると松岡さんが立っていた。
あらためて見ると背が高い。
古い日本家屋の我が家では、鴨居にあたまをぶつけそうだ。

「なにか?」

つとめて平静なフリをして振る舞う。

「よろしければお茶をお淹れいたしましょうか?」

「そ、そうですね。
お願いします」