「では、仕事に取りかからせていただいてよろしいでしょうか、ご主人様?」

いろいろ確認を怠り、さらには担当変更の電話を無視した自分が悪い。
松岡さんには罪はなく、断る理由も見つからない。

「よ、よろしくお願いいたします……」

「かしこまりました、ご主人様」

右手を胸に当て、恭しく松岡さんがお辞儀する。
それに引きつった笑顔しか返せない。

なんだか強引に押し切られた気がしないでもないが、全部自分が悪いんだし。
それに今日はお試しだから、なにか粗を見つけて適当に断っちゃえばいいんだし。


時間内にできる範囲でいいので、掃除と今日の夕食作りをお願いした。

「なにかあったら呼んでください。
仕事、してますので」

「かしこまりました」