松岡くんはなんて気が利くんだろう。
うちの両親なんてマグロとか食べられないのを知っているくせに、平気で出してくるのに。

「うん、美味しい」

わざわざ市場で買ってきてくれたサーモンは脂がのっていて私が苦手な魚臭さも少なく、いままで食べた中で一番美味しかった。
セバスチャンも今日は特別だってもらって、夢中でがっついている。

「喜んでもらえてよかった」

ぱーっと松岡くんの顔が輝き、嬉しそうににこにこと笑う。
ううっ、執事モードの松岡くんも困るけど、こっちの松岡くんも可愛すぎて困る……。

たわいのない話をしながら、おせちをつつく。
こんなに楽しい新年はいつ以来だろう?

「ごちそうさまでした」

「お粗末様でした」

いい加減、お腹もいっぱいになって箸を置く。