視界の隅では転がっていったみかんとセバスチャンが遊んでいた。
そのうち紅白も終わったのか、行く年来る年がはじまる。

「年越しそば食べなきゃ……」

カップそばにお湯を入れて三分。
これはあんなに喧嘩してアフタヌーンティどころかお茶すらなしだったこの間、そんな状況でも松岡くんが準備してくれていたものだ。

「もう松岡くんなしじゃ生きていけないよね……」

ずるっ、久しぶりに食べるカップそばはこんな味だったっけ? ってくらい、あまり美味しくなかった。

「松岡くんのおそばが食べたい……」

はぁーっ、ため息を落としつつもカップそばは完食する。
松岡くんなら案外、そばから手打ちしそうだと想像したら少しだけおかしくなった。

「そばも食べたし、もう寝よ……」

ベッドではすでに、セバスチャンが我が物顔で丸くなっている。

「ここは私のベッドだってゆーの」