松岡くんのポケットからあの日、持って帰ってしまったペンダントが出てくる。

「あとは束縛したいって意味。
犬の首輪と一緒」

松岡くんの手が私の背中に回り、カチリとペンダントの金具を留めた。

「俺の考えすぎでただ単に、女性にウケがよくて気軽に贈りやすいもの、だったのかもしれんけど。
それでも紅夏の首に初めてつけるネックレスは俺が贈りたい、って思ってたのに、他の男が贈ったのが先についてるって俺がどれだけ、ショックだったかわかる?」

「……ごめん」

ようやく、だけど、松岡くんが怒っていた理由を理解した。
こんなこともわからない私はやっぱり、TL小説家なんて失格だ。

――なんて思いつつ、ネックレスを贈る意味はいつか使おうと、しっかり心のメモに書き留めておいたけど。

「あれはもう、最低でも俺が仮彼氏の間は二度と使うなよ」

「わかった。
……ところで。
このペンダントの意味は?」