「そう思っているのかと聞いているのです」

私が黙っているとさらに、松岡くんは聞いてきた。

「わかんない、わかんないよ……」

情けないことに涙がぼろぼろと落ちてくる。
私が泣きだしても松岡くんは、黙っているだけだった。

「……これはお返しいたします」

目の前に、さっき渡したばかりの財布を突っ返された。

「これもきっと、その男の入れ知恵なのでしょう。
紅夏ひとりで選べるとは思えない」

酷い言われようだが、真実なだけに言い返せない。

「こんなもの、私は欲しくありません。
これも、返していただきます」

「あ……」

私に財布を押し付け、さらにはネックレスを松岡くんは奪ってしまった。

「さっさと食べてしまってください、片付けが終わりません」