そうでも思わないと、自分の気持ちに――エリオットが好きだという自分の気持ちに押し潰されてしまいそうだったから。

「で、でも私は、ウェイド家の人間で……」

「それがなにか、関係あるのか?」

はっ、あきれたようにエリオットが短く笑う。

けれど関係は大ありだ。

貴族とは名ばかりの貧乏で、アメリーンを売るようなウェイド家の人間が王族、しかも次期王となど結婚できるはずがない。

「そもそも君はソーク卿に養子に出されたのだから、もうウェイド家の人間ではない」

そんなもの、詭弁でしかない。
確かに城に献上品として上がる際、家格を上げるために買い主であるソーク卿の養子に入った。
しかしどんなに身分を取り繕おうと自分はここでは――奴隷も一緒なのだ。

「で、でも、私は――」

「さっきからつべこべうるさいな!」

ぐいっとエリオットの手がアメリーンの腰を抱き寄せる。