「さむっ」

外に出たらもうだいぶ日が陰ってきているせいか、来たときよりも寒かった。

「マフラー、巻いて来ないからですよ」

一度、ボタンを外してコートの中からマフラーを松岡くんは引き抜いた。

「ほら」

それを私に、ぐるぐると巻いてくれる。

「……ありがとう」

さっきまで松岡くんが巻いていたからか、温かい。

「それから」

私の手を取ってそのまま松岡くんはぼすっと、自分のコートのポケットに突っ込んだ。

「……こうしとけば寒くねーだろ」

「……うん」