あたろうにも自分なだけにどうしようもできない。


顔を洗ってコンタクトにするか眼鏡にするか悩んだ。

家では通常、黒縁眼鏡を愛用している。
コンタクトは外に出るときだけ。

長時間画面を睨んでいると目が乾くから、というのもある。

「眼鏡でいいか……」

部屋に戻って服を選ぶ。
いつもは着古した首がだるだるのTシャツにリラックスパンツという名のステテコだが、さすがにそれはまずい。
面倒だと思いつつ、適当なカットソーにジーンズを穿く。

「化粧もした方がいいよね……」

口からはぁーっとでっかいため息が落ちる。
なんで家政婦が来るってだけで、こんなに面倒なんだろう。

いつもはすっぴんもすっぴん、顔を洗ってオールインワンゲルを塗るだけだが、今日はさらにBBクリームを塗って粉をはたき、リップを塗る。

「これで頼んでよかった!
とかにならなかったら、恨んでやる……」