「……うん」

台所に戻っていく松岡くんのあとをセバスチャンがついていく。

「にゃー」

「おやつですか?
もうすぐ夕食だからダメですよ」

いつもながらセバスチャン相手でも執事モードで敬語なのがおかしい。

ゆっくりとカップを傾けてお茶を堪能する。
今日のお茶はオレンジの香りがした。

「お待たせいたしました」

ぼーっとテレビを眺めていたところへドン!とカセットコンロにのせた土鍋が置かれた。

「鍋?」

「はい」

てきぱきとお皿にのせた具材が並べられていく。

「ひとりでの鍋は味気ないですが、ふたりだと違いますから」