うすうす、気づいてはいた。
もしかしてこれは、世にいう二股って奴になるんじゃないかって。

でも松岡くんとは仮の彼氏であって本当に付き合っているわけじゃない。
立川さんだって冗談でデートだって言っているんだと思う。

そもそも、立川さんは私にとって、推しの存在に近い。
生身の存在というよりも、画面の向こう側の人。

もしくは2.5次元の人。

そんな感じ。

だから仮に松岡くんと本当に付き合っているとして、こうやって立川さんと会っているのは浮気にはならない……と思う。

だいたい、これは仕事なんだし。

「でもまあこれは、仕事ですからね」

「そうですよねー」

立川さんが笑うから私も笑いながら心の中でほっと息をついた。