「猫に引っ掻かれたんですよ。
僕、猫が好きなんですが、あちらは僕が嫌いなようで……」

はははっと乾いた笑いを落とした立川さんのあたまががっくりと落ちる。
本人はよっぽど、気にしているようだ。

「あの。
私、猫を飼ってて。
セバスチャンっていうんですけど……。
写真、見ますか?」

「いいんですか!?」

うっ、そんなにキラキラした目で見ないでください!
尊すぎて天に召されてしまいそうです……。

携帯で写真を呼び出し立川さんに渡す。

「うわっ、黒猫ですか!
可愛いですね!」

大興奮で立川さんはセバスチャンの写真を見ているが。

可愛いのは立川さんの方ですから!

いや、私より十ほど年上の方に、可愛いはあれかもしれないけど。