「……はい、すみません……」

痛む額を涙目で押さえる。
桃谷さんはあきれているけど、前回も同じことをして注意されたんだから仕方ない。

「立川さん、大藤先生のこと、よろしくお願いします。
この通りだから心配で心配で。
ひきこもりだから編集部に来るときくらいしか、家を出ないんですよ」

「……コンビニくらい行きます」

いや、ちょっと待て。
松岡くんが来るようになってからちょっとした買い物もしてくれるようになったし、食べ物も買いに行かなくても作り置きしてくれている分がある。
私、もしかしてひきこもりに拍車がかかっていないかい……?

「なら、ときどき気分転換で、デートにでも誘い出さないとですね」

パチン、と意味深に立川さんがウィンクし、私は鼻血を吹きながら後ろ向きに倒れそうだった。