ひとりで待っていると、不安で不安で落ち着かない。
「お待たせしました。
紹介しますね、こちら文芸雑誌『蒼海』の立川です」
「初めまして、……じゃないですよね」
べっ甲調ボストン眼鏡の彼が、おかしそうに小さく笑う。
「……はい」
熱に浮かされたかのようにあたまがぼーっとなる。
きっと、よくあるまんが表現だったら目がハートマークになっているだろう。
なぜなら彼は……この間、私を助けてくれた王子様だったから。
「えっ、ふたりとも知り合いだったんですか?」
「この間、ぼーっと歩いていて台車に轢かれそうになったところを止めたんだ」
「もー、大藤先生、歩いているときに妄想しちゃダメだっていつも言ってるじゃないですかー」
ふたりがなにか言っているが私の耳には届かない。
だって、二度と会えないと思っていた王子様にこんな形で再会できたのだ。
「お待たせしました。
紹介しますね、こちら文芸雑誌『蒼海』の立川です」
「初めまして、……じゃないですよね」
べっ甲調ボストン眼鏡の彼が、おかしそうに小さく笑う。
「……はい」
熱に浮かされたかのようにあたまがぼーっとなる。
きっと、よくあるまんが表現だったら目がハートマークになっているだろう。
なぜなら彼は……この間、私を助けてくれた王子様だったから。
「えっ、ふたりとも知り合いだったんですか?」
「この間、ぼーっと歩いていて台車に轢かれそうになったところを止めたんだ」
「もー、大藤先生、歩いているときに妄想しちゃダメだっていつも言ってるじゃないですかー」
ふたりがなにか言っているが私の耳には届かない。
だって、二度と会えないと思っていた王子様にこんな形で再会できたのだ。