もう二度と会えないのかと思うと、残念で仕方なかった。



翌日は松岡くんの訪問日だった。

……松岡くんも王子っぽいけど、昨日の人とは違うんだよねー。

「どうかいたしましたか?」

「えっ、あっ、なんでもない!」

声をかけられてはじめて、ぼーっと松岡くんを見ていたことに気づいた。

「……そんなに俺が格好良くて見惚れてたか」

手からカップが滑り、ガチャンとソーサーの上に落ちた。
幸い、なのか残りは少なくて零さないですんだが。

「そ、そんなんじゃ……!」

きょときょとと視線が定まらない。

「じゃあ、なにを考えておいでだったのですか」

すーっと眼鏡の奥の目が細められ、じっと私を見つめる。
そんな松岡くんに、心臓は爆発しそうなくらい速く鼓動した。