とりあえず、迷惑だと突っ返されなくてほっとした。
彼女がプロットを読み終わるのを、じっと俯いて待つ。
いつもの作品よりもかなり緊張した。

「これ、一旦こちらでお預かりさせてもらっていいですか」

「はい、つまらなかったですよね!
すみません!」

反射的に勢いよく下げたあたまがテーブルにぶつかってゴン、と鈍い音を立てた。

「大藤先生、大丈夫ですか!?」

「へ、平気です……」

痛む額を涙目になって手で押さえる。

「気をつけてくださいね。
それでこれ、一旦こちらでお預かりさせてください。
文芸の先輩に相談したいと思います」

「ほんとですか!?」

思いがけない反応で、額の痛みを忘れていた。

「はい。
まだまだ荒削りですが、これ、絶対いい作品になると思いますよ」