「ご自分でなさるのが怖いんだったら、化粧品店でけっこう、してくれるところありますよ」

「それができたら苦労しないですって」

化粧品を買いに行って、美容部員に声をかけられて逃げたくらいだ。
眉カットを頼むなんて無理。

「ですよねー」

桃谷さんが苦笑いを浮かべ、私も笑うしかできない。

「あ、ちょっと待っててください」

なにかを思いついたかのように桃谷さんは席を外した。
手持ちぶさたにコーヒーを啜る。
最近は松岡くんが淹れてくれた紅茶に慣れてしまっているから、久々のコーヒーは苦く感じた。

「お待たせしましたー」

しばらくして桃谷さんはポーチを手に、戻ってきた。

「せっかくなんで、私がやってあげます」

「えっ、いいんですか?」