「えっと……」

【今日のオムライスは特別おいしかった】

打ったハートマークを速攻で消す。

【今日のオムライスは特別おいしかったよ】

よし、これで完璧だ。
幸せの味がするなんて、変なことを考えそうになったのは事実だし。

送信すると一気に気が抜けた。
今日は先にお風呂に入って、リラックスしてから仕事に取りかかろう。



「大藤先生、なんか変わりましたね」

「そ、そうですか……?」

桃谷さんがなにかを悟ったかのようににやにやと笑っていて、ごまかすかのようにコーヒーのカップを口に運んだ。

編集部へ打ち合わせに行くだけだからいつもの簡単化粧でいいと思ったものの、回数をこなさないとうまくならないと気づいた。